マイナス金利で住宅ローンはいつから影響が出る?いつまで続く?

マイナス金利の導入で住宅ローンの金利は低下しました。ここでは、住宅ローンがマイナス金利の影響を受けはじめたのはいつからなのか、マイナス金利がはじまる以前の住宅ローン金利の動きと合わせて見ていきましょう。

2016年1月~2月のマイナス金利導入の動き

2016年1月29日の日銀金融政策決定会合にて、2月16日からマイナス金利を導入することが決まりました。この決定を受けて金融機関の一部で2016年2月からの住宅ローンの金利(適用金利)を下げる動きが始まりました。

本格的に各金融機関の住宅ローン金利が下がったのは2016年3月からとなります。例えばフラット35の最低金利(返済期間21年以上、融資率9割以下の場合)は2016年2月では1.48%でしたが、3月には1.25%まで大きく低下しました(※)。マイナス金利の影響を受けたのは2016年3月の金利から、と言ってよいでしょう。

※フラット35の金利は取り扱う金融機関によって異なります。ここでは「最低金利」を取り上げています。なおフラット35は返済期間21年以上と20年以下では金利が異なり、また融資率9割以下か9割超か、でも金利は異なります。

金利低下はその前から起きている:フラット35を例に

次のグラフは、フラット35の最低金利(返済期間21年以上、融資率9割以下の場合)の推移を見たものです。2016年3月に大きく下がりましたが、その前から一貫して低下傾向にあるということも読み取れます。5年前は2.5%前後あった金利がじわじわと低下、2012年あたりから2%を下回るようになり、2015年には1.5%前後で推移していました。

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フラット35の金利は「長期金利」(新発10年国債の金利)と連動する傾向があります。フラット35の金利が数年低下傾向なのは「長期金利」が下がっているからです。長期金利が下がっている背景には、日銀による金融緩和策、国債買い入れ等の影響が強いと考えられます。

変動金利タイプの金利の動き

固定金利の代表格フラット35について見てきましたが、次に「変動金利タイプ」の動きについてまとめておきます。マイナス金利導入後の大手都市銀行の変動金利の最優遇金利(※)は0.625%です。以前は0.775%だったのでマイナス金利でだいぶ金利も下がったなと感じる人も多いかと思います。しかし実は0.775%→0.625%への金利引き下げは、マイナス金利導入決定前の2016年1月上旬の時点で、起きていたものです。

※最優遇金利:住宅ローンの金利は借りる人の条件によって異なります。自己資金が多い人は優遇され金利が低くなり、そうでない場合には多少金利が高くなります。その人が上場企業にお勤めだったり、公務員だったりすると優遇され金利が低くなりますが、例えば自営業者の場合には金利が高くなったりします。最優遇金利というのはその銀行が提示する最も有利な低い金利のことを言います。

多くの金融機関で住宅ローンは「店頭金利」と「適用金利」という2つの金利があります。「店頭金利」はいわば「定価」の金利「適用金利」はそこから値引きされた金利で実際に使われる金利という理解をしてください。例えば大手都市銀行の2016年3月の変動金利タイプについて見てみると、店頭金利は2.475%となっています。適用金利の最優遇金利は0.625%ですが、これは店頭金利(定価)である2.475%という金利から、最大で1.85%分優遇(値引き)しますよ、という意味になります。

このうち「店頭金利」の2.475%というのは2009年1月からずっと変わっていません。一方の「適用金利」の最優遇金利は2015年12月までは0.775%でしたが、2016年1月上旬から0.625%になりました。マイナス金利導入後も店頭金利は変わらずに2.475%で、そこからの優遇幅(値引幅)が少し前までは1.7%だったのが今は1.85%になっているということです。

変動金利の店頭金利は「短期プライムレート」と呼ばれる金利と連動する傾向があります。この短期プライムレートは2009年1月から変わっておらず、それと連動する、変動金利の店頭金利も2009年1月から変わっていません。しかしこの間に変動金利の適用金利は1.475%→1.275%→1.075%→0.875%→0.775%→0.625%と徐々に下がってきました(大手都市銀行の例)。変動金利の適用金利がこのように低下したのは世の中の金利の動き、というよりもむしろ金融機関の間での競争の結果という面が強いと言えます。

住宅ローン金利はいつから上昇に転じるのか?

フラット35の金利は長期金利に連動する傾向があり、「長期金利」が下がればフラット35も金利が下がると言えます。ではこの長期金利はいつから上昇に転じるのでしょうか?予測するのは難しいですが、1つの可能性としては日銀が行っている国債買い入れが終了になる時ではないかと考えられます。

変動金利等の金利が下がっているのは、世の中の金利の動きというよりも金融機関の間での金利競争という面が大きいと考えられます。変動金利がいつから上昇に転じるかの予測も難しいですが、金融機関の間での金利引き下げ競争に限界が訪れた時に金利上昇に転じる可能性があります。

金融機関は現在、資金の運用先の選択に困っているので、今後もしばらくは住宅ローンに力を入れるはずです。金融機関の間での金利競争は今後もしばらく続くのではないかと考えられます。しかし金融庁のレポートには「住宅ローンの収益性が損益分岐点近くまで低下している金融機関もある」とも書かれています。金利引き下げ競争はそろそろ限界が近づいている可能性もあります。マイナス金利導入で住宅ローン金利はいつまで下がり続けるのか? 金融機関の収益が悪化すると、金利を上げてくる可能性もあります。

住宅ローンの金利は世の中の金利の動きと連動するのが一般的ですが、金融機関どうしの金利引き下げ競争で、世の中の金利の動きとは無関係の要因で動くこともある、ということも注意しておきたい点の1つです。

著者
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井上 光章

井上光章株式会社FPアルトゥル代表取締役
日本住宅保証株式会社取締役
一般社団法人日本モーゲージコンサルタント協会 監事
CFP 1級FP技能士

2007年より独立系ファイナンシャルプランナーとして住宅ローンのコンサルティングを行う。住宅購入者の住宅ローン相談、住宅ローンの借り換え相談の件数は9年で500組以上。保険の販売等は行わずコンサルティングフィーのみを収益とすることで中立的立場から住宅ローンのコンサルティングを行っている。住宅ローン借り換えコンサルティングでは、ただ毎月返済額を下げればいいのではなく、その家計のリスクを分析してローン選択に活かすことを提唱、オリジナルなコンサルティング手法でアドバイスを行っている。著書に『マイホームで年金をつくる』(共著)。住宅関連雑誌や住宅展示場等のWEBサイトへのコラム執筆も多く行う。ハウスメーカー等での講演も多数。

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