マイナス金利で追い風!住宅ローン金利はどこまで下がる?

マイナス金利導入で住宅ローンの金利は大きく下がりました。今後さらに金利は下がるのか、現時点が「底」なのかは誰しもが気になるところです。ここではマイナス金利で住宅ローン金利がどこまで下がるか、を考えてみましょう。それを考えるにはまず、そもそも住宅ローンの金利はどのようにして決まるのか、を理解しておく必要があります。今回は「住宅ローンの金利はどのように決まるのか」から解説します。

住宅ローン金利の決まり方:フラット35の場合

住宅ローンの中でも固定金利の代表格「フラット35」の話から始めます。フラット35というのは各金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供されている固定金利タイプ(返済終了までずっと金利が変わらないタイプ)の住宅ローンです。

このフラット35の金利は「新発10年国債の金利」と連動する傾向があります。「新発10年国債」というのは「新しく発行される国債で10年後に満期が来る国債」です。「長期金利」の代表例として日経新聞の1面にも値が載っているほど有名です。投資家をはじめ、世の中の注目度が高い指標なのです。

さて「新発10年国債の金利」と連動する傾向にあるフラット35の金利ですが、「フラット35の最低金利」は具体的には「新発10年国債の金利」におおよそ1.2%~1.4%ほど上乗せした金利になっています(1.2~1.4%という幅はその時々によって異なります)。

住宅ローン金利の決まり方:変動金利の場合

変動金利タイプの住宅ローン(6カ月ごとに金利が変わるタイプ)は「短期プライムレート」という金利に連動する傾向があると言われています。「短期プライムレート」というのは銀行が企業に行う1年未満の融資の際に使われる金利のうち、最も優遇された金利のことです(優良企業には金利を低くしてお金を貸し、そうでない場合には多少金利を高くしますが、その中で最も低い金利、ということです)。

確かに変動金利タイプの金利はこの短期プライムレートに連動する傾向があるのですが、それは「店頭金利」に限ったことです。金融機関の金利には「店頭金利」と「適用金利」という2種類の金利が存在します。「店頭金利」がいわば「定価」で、そこから優遇をして(値引きをして)、実際に使われる金利が「適用金利」という関係です。例えば大手都市銀行の変動金利では「店頭金利」は2.475%で、そこから最大で1.85%優遇(値引き)して0.625%まで下げる、という仕組みになっています。

変動金利の「店頭金利」は、確かに短期プライムレートと連動する傾向があります。しかし優遇後(値引後)の「適用金利」(実際に使われる金利)の方はあまり連動していません。大手都市銀行の最近の変動金利は、店頭金利については2009年以来2.475%でずっと変わっていません。一方で適用金利は下がっています。つまり変動金利の低下は、世の中の金利が低下した結果とは必ずしも言えません。それよりもむしろ、銀行間の金利引き下げ競争(値引き競争)の影響が強い、ということが言えると思います。

マイナス金利で住宅ローン金利はどこまで下がる?

では以上を踏まえて、住宅ローン金利は今後どこまで下がるのか考えてみましょう。住宅ローンの金利のうち固定金利の代表格フラット35について考えると、その金利は「新発10年国債の金利」と連動する傾向がありました。つまりフラット35の金利がどこまで下がるのか、は「新発10年国債の金利」がどこまで下がるのか、によると考えられます。マイナス金利導入後に「新発10年国債の金利」もマイナスになってしまいました。しかし現状、日銀が設定したマイナス金利「-0.1%」よりは高い数値で推移しています(例えば2016年3月17日時点では-0.05%)。

フラット35の金利は先に解説したように「新発10年国債の金利」におおよそ1.2%~1.4%ほど上乗せした金利になっています。「新発10年国債の金利」の下限がもし「-0.1%」なのであれば、1.1%~1.3%あたりが金利の底、ということができるでしょう。もし今後日銀のマイナス金利が「-0.1%」からさらに引き下げられると、フラット35の金利はさらに低下する可能性も考えられます。

「変動金利」(6カ月ごとに金利が変わるタイプ)は短期プライムレートに連動する、と言われていますが、実際の変動金利はそこまで連動しておらず、むしろ金融機関同士の競争による低下という面が大きいということを先に述べました。つまり金利がどこまで下がるかは金融機関同士の競争次第、ということになります。「住宅ローンで損をしてもいいから顧客を囲い込む」という戦略を取る金融機関があれば、さらに金利が下がる可能性もあります。

ただここ数年の金利引き下げ競争は激しいものがあり、さすがにこれ以上の引下げは厳しいのではないかと考えることもできます。なお、マイナス金利で各金融機関の収益は悪化する可能性があります。そうなると、金利を上げてくることも考えられます。

まとめ

マイナス金利は過去に例がなく、今後もさらに下がるか、しばらくこのまま横ばいになるのか、上昇に転ずるのか、予測はとても難しいと言えます。マイナス金利がいち早く導入されたヨーロッパ諸国のうち、デンマークでは住宅ローンまでマイナス金利になっているようです。しかしながらこれは例外と考えていいでしょう。スイスなど、マイナス金利導入後、住宅ローンの金利が上がった国もあります。

今後の予測は難しいですが、過去と比べるとかなり金利は下がったことには間違いなく、これは住宅ローンを組む人にとって有利です。これから住宅ローンを組んでマイホームを購入しようとする人はもちろん、現時点で住宅ローンを借り換えでメリットが出そうなのであればチャレンジしてみるとよいのではないでしょうか。

著者
inoue
井上 光章

井上光章株式会社FPアルトゥル代表取締役
日本住宅保証株式会社取締役
一般社団法人日本モーゲージコンサルタント協会 監事
CFP 1級FP技能士

2007年より独立系ファイナンシャルプランナーとして住宅ローンのコンサルティングを行う。住宅購入者の住宅ローン相談、住宅ローンの借り換え相談の件数は9年で500組以上。保険の販売等は行わずコンサルティングフィーのみを収益とすることで中立的立場から住宅ローンのコンサルティングを行っている。住宅ローン借り換えコンサルティングでは、ただ毎月返済額を下げればいいのではなく、その家計のリスクを分析してローン選択に活かすことを提唱、オリジナルなコンサルティング手法でアドバイスを行っている。著書に『マイホームで年金をつくる』(共著)。住宅関連雑誌や住宅展示場等のWEBサイトへのコラム執筆も多く行う。ハウスメーカー等での講演も多数。

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