マイナス金利時代に「固定金利」で住宅ローンを組むとき 気をつけたいこと3つ

日銀によるマイナス金利発表以降、下がり続ける住宅ローン金利に注目が集まっています。このような金利が低いときに、その低い金利を将来にわたってキープしたい場合や、その金利水準で先々の返済計画を確定したいなら固定金利にメリットがあるということをこちらの記事(→「マイナス金利時代で住宅ローンは「固定金利」がおトク?」)でお話しました。ただし、誰もが固定金利を選んだほうがいいのかというとそうではありません。ここでは、固定金利を選ぶときに気をつけておきたい点を3つお伝えします。

1番低い金利をキャッチしようと思ってはいけない

固定金利を選んで一番後悔するであろう瞬間は、自分が借りたときよりも金利が下がったときかもしれません。他の人が今借りる低い金利を横目に、自分は高い金利で借りているため、その高い利息で長い期間払っていかなければならない、そんな心境で落ち着かなくなる人もいそうです。気持ちはわかりますが、将来が誰にもわからない以上、どこが金利の底であったかは過去のこととなってみなければわかりませんから、一番金利が下がったときを捉えるのは至難の業です。

では結局どうすればいいか?「これならば納得できる金利」「この金利での返済計画ならずっと返していけそう」― そう思えれば、その金利がその人にとってのベストな「借り時」です。

仮に、その後金利が下がったとしても、「借り換え」という手もありますし、「繰上げ返済」によって総支払利息の軽減を図る手もありますから、それらによってリカバリーを図ることも可能です。ですから、借りた後の金利に一喜一憂しすぎないことも大切です。

住宅ローンがマイナス金利になるのを待ってはいけない!?

マイナス金利発表以後、「まさか住宅ローン金利がマイナスに!?」という期待も耳にします。しかし、住宅ローン金利がマイナスになる可能性はゼロとはいいきれないものの、その可能性は少ないでしょう。なぜなら、住宅ローンのような貸出しは銀行などが預かっている預貯金を原資とした金融機関の収益源だからです。預貯金の金利をマイナスにできずに、収益がマイナスになるくらいなら「貸さない」という選択肢も金融機関にはあります。マイナス金利を待ち過ぎて、借りるタイミングを逃さないように気をつけたいものです。

マイナス金利とまではいかなくても、もっとも低い金利をキャッチしたいと願う人にも同じことがいえます。心に留めておきたいのは、これだけ金利水準が低くなってきたとしたら、”下げ幅”も限りがあるということです。下げ幅がわずかなら、その金利による利息額の差も以前とくらべて縮小しているはずです。

たとえば、3000万円を返済期間35年、フラット35で借り入れた場合の利息額を見てみましょう。2016年3月のフラット35最低金利の1.25%を基準として、それより金利が下がった場合の総利息額を表に記しました。
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仮に今の1.25%よりも0.25%金利が下がれば支払う総利息額の差はプラス約149万円、0.5%下げでプラス約294万円。このように金利が下がることによる利息メリットはたしかに大きなものです。ただ、金利が下がることを待つ間に、この利息差と同じくらい住宅価格が上がってしまう可能性も頭に入れておいたほうがよいでしょう。

一般に、多くの人が今は低金利だから住宅購入がトク!と考えれば購入需要が増え、住宅価格がさらに上がることも考えられます。金利下げを待って低い金利をめでたくキャッチできても、住宅価格が上がってしまえば金利が下がったメリットも吸収されてしまうということです。

思った金利で借りられるとは限らない

また、これは固定金利に限らずですが、住宅ローン金利は申込み時ではなく、「融資実行時」の金利が一般的に適用されます。今だ!とタイミングを見計らって申込みに急いだとしても、適用される融資実行時金利まではタイムラグがあります。例えば、注文住宅の場合はすべての融資実行がされるのは住宅が完成してからですから少なくとも半年以上はタイムラグがあることになります。
「ここが金利の底!」と絶好のタイミングを捉えたつもりでも、適用される金利は思った金利ではありませんでしたということのないよう、このタイムラグの事を頭に入れておきたいものです。

ここまでマイナス金利時代に固定金利を選ぶ場合の注意点についてお伝えしてきましたが、最後にお伝えしたいのが、なるべく有利な固定金利で借りるということと、今が住宅の買い時か?ということとは別ものだということです。金利が史上最低金利だからという理由だけでマイホームの購入にとびつくのではなく、長い目で見てほんとうに返していけるか?本当に欲しい物件か?という視点でしっかり資金計画を立ててから買う事をおすすめします。
なんといっても、住宅ローンは人生で長いおつきあいになることが多いもの。そしてローンであるからには、返し終わらなければ意味がありません。『人生における長い期間ずっと家計に無理なく返し終わること』、これがもっとも住宅ローンで大切なことなのです。

そして、もし、金利がもっと下がってくるのを待ちたいのなら、ただ手をこまねいて金利の動向を見守るのではなく、待つ間、少しでも頭金を積み上げる努力も忘れないでおきたいところです。

著者
fukusima
福島 えみ子

リュクスセオリーFPサロン 代表
ファイナンシャル・プランナー(C FP®・1級FP技能士・住宅ローンアドバイザー((財)住宅金融普及協会))

複数の銀行を経て、相続、金融、不動産等の民事案件を扱う法律事務所に転職。その後、独立系FP会社にて勤務。数百件の個人相談を担当すると共に、セミナー、執筆と幅広く活動。2014年独立。相続・資産運用・住宅相談・リタイヤメントプラン等を得意とし、個人相談にも力を入れる一方で、セミナーや企業研修、執筆を通じてわかりやすくお金の知識を発信することに注力している。

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