マイナス金利の影響で、住宅ローンの「変動金利」はどうなる?

住宅ローンを借りるときに、まず迷うのが「変動金利」にするべきか?それとも「固定金利」?ではないでしょうか。将来の金利の動きが確実に予測できるなら、選択に迷うことはありません。しかし、現実は将来のことなど誰にも確実にはわかりませんから、ある程度の見通しと自分のライフプランを見合わせ、変動か固定を選択することになります。

日銀による突然のマイナス金利発表以降、住宅ローン金利も今までにない水準へと下がり、これまでにもまして先々の予測がつきにくくなっています。でも、”マイナス金利はこれまでとは違う未体験ゾーンだからお手上げ”というのではなく、少しでも有利に住宅ローンを借りるため、ある程度先を見越して先手を打っていくにはおさえておくべきポイントがいくつかあります。

そもそも変動金利を選ぶと有利なときって?

先ほど、将来の金利の動きがわかるなら…というお話をしましたが、仮に将来、今よりも金利が上がるとわかっていれば、変動金利ではなく今の低い金利をずっとキープできる固定金利が基本的に有利です。実際、過去の例を見ても、金利上昇の兆しがあると見るや、固定金利への借り換えが増加する動きが顕著に見られました。

一方で、仮にこれまでと同じように低い金利水準が続いたり今よりもさらに金利が低くなることがわかっていれば、変動金利が有利です。同時期の適用金利を較べれば、変動金利のほうが固定金利よりも低い金利が設定されているのが通常だからです。

変動金利は何をもとに決まる?

日銀は、目指した効果が見られなければさらなる緩和も辞さないと表明していますが、今後住宅ローンの変動金利はどうなっていくのでしょうか?

先々変動金利がどうなるかを予測するには、まず変動金利が何をもとに決められているかを知るのが第一歩です。住宅ローン金利といっても、固定金利と変動金利ではそのもととなる金利が違うのです。

固定金利がマーケットで随時機動的に動いていく長期金利(10年物国債利回り)をもとに決定されるのに対し、変動金利は、短期金利(短期プライムレート)をもとに決められます。短期プライムレートは銀行が企業に融資するときの最優遇貸出金利です。この短期プライムレートは、政策金利に影響されますから長期金利と比べて機敏に動いてくるものではありません。

実際、短期プライムレートは平成2009年1月13日から2016年3月10日現在まで1.475%でずっと変わっていません。こう書くと、いやいや住宅ローンの変動金利はマイナス金利以後下がっているのでは?と思われるかもしれません。じつは住宅ローンの変動金利といっても「店頭金利」(基準金利)と実際に適用される「優遇金利」があり、下がっているのは「優遇金利」だけなのです。

店頭金利の多くは短期プライムレート+1%程度で決定されていますが、優遇金利は違います。金融機関は単純に短期金利に常にプラス何%と機械的に金利を決めてくるのではなく、他の金融機関の動向を見て営業戦略的に決められたりもします。本当はもっと高い金利を設定したいけれど、他の金融機関との競争のために同水準またはさらに低い金利に設定しているというような部分もあるのです。下記の金融機関へのアンケート調査の結果でも、金利決定の考慮要因として「競合する他機関の金利」がかなり重視されているのがわかります。

マイナス金利の影響で、住宅ローンの「変動金利」はどうなる?_01

マイナス金利を受けて、今後の変動金利は?

マイナス金利発表以後、下がり続ける金利に注目が集まり、「まさか住宅ローン金利がマイナスに!?」という期待も耳にします。しかし、住宅ローン金利がマイナスになる可能性はゼロとはいいきれないものの、可能性は非常に低いでしょう。なぜなら、住宅ローンのような貸出しは、銀行など金融機関が預かっている預貯金を原資とした大切な収益源だからです。

下記の金融機関へのアンケート調査の結果を見ても、貸出金利を引き下げることによる金融機関の懸念が色濃く見て取れます。

マイナス金利の影響で、住宅ローンの「変動金利」はどうなる?_02

つまり、運用利回りの低下や貸出資金の調達コストがかさむことにより、金融機関の収益を圧迫することになるからです。金融機関の立場からすると、金利を下げないでいて他の銀行にお客を奪われるのは困るのである程度競争相手の動向を見て下げなければならない、でも収益への圧迫を思うと無尽蔵には下げられない、そのような部分もあるのではないでしょうか。それを考えれば、マイナス金利だからといってどこまでも下がっていくとは言いきれないようです。

マイナス金利という金融政策が今後の日本経済にどのような影響を与えていくのか?それは世界各国の状況や各金融市場の影響を複合的に受けるため、先行きを確実に言い当てることは非常に難しいところです。それでも少しでも変動金利で有利に借りたいなら、住宅ローン金利に影響を与える短期金利、長期金利の動きや世の中の経済状況、各指標の動きに常に注意を払っていきたいところです。

著者
fukusima
福島 えみ子

リュクスセオリーFPサロン 代表
ファイナンシャル・プランナー(C FP®・1級FP技能士・住宅ローンアドバイザー((財)住宅金融普及協会))

複数の銀行を経て、相続、金融、不動産等の民事案件を扱う法律事務所に転職。その後、独立系FP会社にて勤務。数百件の個人相談を担当すると共に、セミナー、執筆と幅広く活動。2014年独立。相続・資産運用・住宅相談・リタイヤメントプラン等を得意とし、個人相談にも力を入れる一方で、セミナーや企業研修、執筆を通じてわかりやすくお金の知識を発信することに注力している。

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