マイナス金利で今がチャンス!住宅ローン借り換えの注意点

マイナス金利で住宅ローンの借り換えをする人は増えていますが注意すべき点もいくつかあります。今回は「金利上昇リスク」と「優遇の条件」という2つの注意点を解説します。

住宅ローンの借り換え注意点1:金利上昇リスクは大丈夫か?

住宅ローンの借り換えで注意すべき点の1つに、金利上昇リスクは大丈夫かという点があります。借り換え後に固定金利を選んでいる場合にはこの金利上昇リスクは負わないのですが、借り換え後に変動金利や5年固定、10年固定タイプなどを選ぶ場合には金利上昇リスクを背負います。ここ数年金利が上がったことがないためなのか、金利上昇リスクに鈍感な人が多いように感じます。そこは注意していただきたい点の1つです。

2016年3月時点で大手都市銀行の変動金利の最優遇金利は0.625%です。2009年ごろの最優遇金利は1.475%、それ以前は1.675%や1.875%という時代もありました。その時代に変動金利で借りたものを今、変動金利に借り換えれば、毎月返済額も総返済額も小さくなることが予想されます。

例えば7年2か月前に、当初の借入3,000万円、金利1.475%、35年返済(元利均等返済)で借りたものを、7年2カ月後に借り換える場合、借り換え前と後では以下のように返済額が小さくなります。

注意点1

しかし変動金利には金利が上昇するリスクがあります。借り換えをして5年経過後に店頭金利が4%に上がったと仮定します。今(2016年3月時点)の店頭金利が2.475%ですので、今から1.525%金利が上がったということなり、金利は2.15%になっているはずです。この場合、毎月返済額は98,317円まで上がってしまいます。毎月返済額が10万円に近づいて毎月の返済は大丈夫かという確認が必要です。

注意点2

5年後に金利がそこまで上がる可能性は本当にあるのか、疑問に感じる人もいるでしょう。確かに確率はそこまで高くないかもしれません。しかし確率の問題ではなく、万が一のリスクを考えることが大切なのです。

金利が上昇して毎月返済額が上がっても、収支のバランスから見て余裕で返済できる、というのであれば借り換え後も変動金利(や5年固定、10年固定)を選択することは問題ないでしょう。またそれまでに貯蓄がたくさんできていればそれを繰り上げ返済(返済額軽減型の繰り上げ返済)に回すことで返済額の上昇を抑えることができるため、問題はないと言えます。

もし金利が上昇すると返済が厳しくなってしまうと考える場合には、金利上昇リスクを取るべきではない、ということが言え、金利の低い今のタイミングで固定金利に借り換えて置くことが合理的だと言えます。住宅ローンの借り換えの際には金利が上昇しても耐えられる家計なのかどうかのチェックをしておくことをお勧めします。

借り換えにおいては、例えば今まで変動金利で借りていたものを、借り換え後は固定金利や5年固定、10年固定にすることもできます。逆に今まで固定金利で借りていたものを変動金利、5年固定、10年固定に借り換えることもできます。今まで固定金利で借りていたが、借り換え後に、変動金利や5年固定、10年固定を選び、金利を大きく下げることで返済額を大きく減らすことは可能です。しかし今まで負わなかった金利上昇リスクを負うことになるので安易に行わない方がよいでしょう。

住宅ローンの借り換え注意点2:優遇期間にも注意

住宅ローンの金利には「店頭金利」と「適用金利」の2種類があります。「店頭金利」がいわば「定価」で、そこから優遇をして(値引きをして)、実際に使われる金利が「適用金利」です。

例えば大手都市銀行の変動金利(2016年3月現在)では「店頭金利」は2.475%で、そこから最大で1.85%優遇(値引き)して0.625%まで下げる、という仕組みになっています。今借り換えをすれば、この優遇幅(値引き幅)は、基本的には返済終了までずっと続きます(全期間優遇)。

※住宅ローンの延滞を行うとこの優遇が外され、0.625%ではなく、店頭金利の2.475%まで金利を上げられてしまう、ということもあります。

優遇幅がずっと変わらないタイプ(全期間優遇)だけでなく、当初何年か優遇幅が大きく、その後優遇幅が小さくなるようなタイプ(当初期間優遇)という形の優遇の方法もあります。例えば、三菱東京UFJ銀行の10年固定タイプでは店頭金利は3.1%ですが、全期間優遇の場合、最大で1.85%の優遇が受けられその場合の適用金利は1.25%となります。一方、当初10年間は2.3%の優遇が受けられ適用金利が0.8%と低くなり、10年経過後には優遇が1.4%になるというタイプもあります(2016年3月時点)。

どちらが有利になるかは人によって異なります。例えば返済期間30年、3,000万円の借り換えをする場合を考えます。今の店頭金利は3.1%、10年経過後の店頭金利を5%と仮定し、上記三菱東京UFJ銀行の10年固定タイプで借り換える場合には以下のようになります。

<店頭金利の仮定>

注意点3

<優遇条件と適用金利>

注意点4

<優遇タイプによる返済額の違い>

注意点5

この例では、総返済額を比較すると当初期間優遇を選んだ方が得ということになります。

金利の優遇には「全期間優遇」と「当初期間優遇」の2つがありますがこの違いを分かっていない人もたまに見受けられます。例えば「当初期間優遇」の優遇をずっと受けられると勘違いする人は多いです。例えば、新生銀行では変動金利は0.6%と大手都市銀行などと比べて低い金利を出しています。しかし6カ月を過ぎると、0.95%に上がってしまう(基準金利1.6%-0.65%の優遇)ことをきちんと理解している人は少ないように感じます(金利や優遇の情報は2016年3月現在)。借り換え時のローン選択では優遇の条件をきちんと確認することが大切です。

まとめ

今回は住宅ローン借り換えで注意すべき点として、金利上昇リスクは大丈夫か、という点と、金利の優遇の条件を混同しないという2つを解説しました。マイナス金利の影響で住宅ローンの金利も下がり、借り換えをやりたいという人も増えています。金利が低い今だからこそ、安易に変動金利等を選ばず金利上昇リスクを取って大丈夫なのかチェックをする必要があります。またマイナス金利で各銀行とも借り換え顧客獲得に力を入れています。そのためのキャンペーンで、色々な優遇をこれから打ち出してくる可能性がありますが、優遇の条件はきちんと確認することも大切です。

著者
inoue
井上 光章

井上光章株式会社FPアルトゥル代表取締役
日本住宅保証株式会社取締役
一般社団法人日本モーゲージコンサルタント協会 監事
CFP 1級FP技能士

2007年より独立系ファイナンシャルプランナーとして住宅ローンのコンサルティングを行う。住宅購入者の住宅ローン相談、住宅ローンの借り換え相談の件数は9年で500組以上。保険の販売等は行わずコンサルティングフィーのみを収益とすることで中立的立場から住宅ローンのコンサルティングを行っている。住宅ローン借り換えコンサルティングでは、ただ毎月返済額を下げればいいのではなく、その家計のリスクを分析してローン選択に活かすことを提唱、オリジナルなコンサルティング手法でアドバイスを行っている。著書に『マイホームで年金をつくる』(共著)。住宅関連雑誌や住宅展示場等のWEBサイトへのコラム執筆も多く行う。ハウスメーカー等での講演も多数。

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